化学工学論文集
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[特集] 水と大気と土の化学工学
タピオカ澱粉生産におけるバイオガス利用による温室効果ガス排出量の削減効果
蒲原 弘継Udin HasanudinAnugerah Widiyanto橘 隆一熱田 洋一後藤 尚弘藤江 幸一大門 裕之
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2012 年 38 巻 5 号 p. 299-304

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抄録

東南アジア地域においては,バイオエネルギー生産によるクリーン開発メカニズムのプロジェクトがこれまでにいくつかはじまっている.これらのプロジェクトのバイオマス生産のライフサイクルにおける効果を明確にすることが重要である.したがって,本論文では,インドネシア,ランプン州のフィールド調査を通して,タピオカ生産における温室効果ガス排出量を明らかにし,バイオガス利用による温室効果ガスの削減効果を明らかにすることを目的にした.温室効果ガス排出量は,バイオマス由来の炭素の収支,化石燃料と化学肥料の消費量,亜酸化窒素とメタンの排出量により評価した.はじめに,バイオマス由来の炭素の収支として,タピオカ製粉工場では,キャッサバに固定された炭素のうち,46%がタピオカ製粉に,12%が廃水に,残りがバイオマス残渣に変換されていた.加えて,廃水処理池では,廃水の炭素のうち,34%がメタンに変換されていた.これらの結果をもとに,本論文では,タピオカ生産による温室効果ガス排出量を1.4 t-CO2eq/t-tapiocaと推計した.廃水処理池におけるメタンの排出による温室効果は,温室効果ガス排出量全体の64%を占めていた.さらに,本論文では,タピオカ製粉工場内においてバイオガスをエネルギー利用することにより,65%の温室効果ガス排出量の削減が可能になることを明らかにした.

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© 2012 公益社団法人 化学工学会
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